ポケモンの中ではニョロボンが一番好きだ。ニョロボンはおたまじゃくしを模したおたまポケモンで、ニョロモからニョロゾへ、そして、ニョロゾにみずのいしを与えるとニョロボンに進化する。進化しても蛙になるわけではなくおたまポケモンだ。ニョロモはおたまじゃくしの尾鰭があるが、ニョロゾになると尾鰭はなくなり、脚も伸びて、安定して二足歩行できるようになる。ニョロボンにもなると筋骨隆々になり、格闘家然とした見た目になる。ニョロボンはやる気まんまんといった風貌で、しかも青いボディーに渦模様というシンプルさで、すぐ誰でも書けてしまいそうだが、書ける人は少ない。なぜならニョロモとニョロゾとは渦の方向が逆だからだ。また、いくら進化してもおたまじゃくしから脱することができないというのも切ないような、もはや蛙を超えているおたまじゃくしというべきか……。レベルが100になったってニョロボンを先頭にして、一緒に旅をしている感覚を楽しんだ。
いま再びニョロボンに惹かれる理由、それはなんとなく苦労人の職人気質に見えてくるからだ。水ポケモンのなかではパッとしないのだが、ニョロゾはある日身体を鍛えれば強くなれるに違いないと考えたのかもしれない。ニョロゾはぼうとしてそうで意外といろいろ考えているのだと思う。そこで日々地道な筋肉トレーニングを積むのだが、鍛えた結果がハイドロポンプを覚えるわけでもなく、筋肉がついて、かくとう属性がついてしまったと物語を想像するとかなしくも面白い。ある日筋骨隆々なったニョロゾは水面に映った自分をみて、別人になってしまったと驚いただろう。筋肉がついてしまったからか渦が逆向きになっている。その日から自分のことをニョロボンと名乗るようになった。もしかしたら自分はまだニョロゾなのではないかとも思いながら。
【参考資料】
ニョロボン
おたまポケモン
たいしぼうりつは だいたい0%。 ぜんしん きんにくで おもいのでおよぐ ちからが はったつした。 (『ポケモン ムーン』より)
ニョロゾ
おたまポケモン
りくじょうを ねりあるいてエサの むしポケモンを さがす。 たべるのは あんぜんな みずのなか。 (『ポケモン ムーン』より)
ニョロモ
おたまポケモン
まだまだ あるくのが ヘタ。 トレーナーに なったら まいにちあるく くんれんを してあげよう。 (『ポケモン ムーン』より)