オクラカレー
みな死んだ地上の蝉は鉄板のアスファルトから命がかわく
プルートに死はなく地球に死はあって死の星でユーチューバーしゃべる
ゴキブリはフナムシひとの波は波プラットホームで目をつぶりみる
海のない埼玉県で目を閉じて海の幻想砂漠の幻想
オクラ浮くインドカレーにナンひたす朴浴のような手の動きして
インド人もバテる暑さの日本に辛さフツーのカレー食みおり
太陽を恋うもの死にきアポロンと隣の畑の高き向日葵
炎天のアスファルトにも蟻はいて蝉を土へと運びつづける
らせん
ゼンマイのような音して蝉が落つ秋虫がなく螺旋なすなり
ごんごんとガラスに頭を打ちつける蝉はこの世に慣れずに死んだ
あわれな蝉よ今度は冬に来よ銀色をなす冬の陽がある
ひぇ蝉!と夜道で跳ねる花火なき二〇二〇年夏の絶叫
最寄り駅とわが家のあいだに落とし物ぼんやり光るわが足跡を
巨大なるドリルでがりがり進むのだ月より大きいグレンラガンは
月もまたらせんをゆっくり描きつつ進歩史観を示唆してきたか
たったひとつ隕石落ちれば滅ぶ星いっさいは些事明日は仕事だ
朝顔はパラボラアンテナ少年のまなこに夏を焼きつけている
バーバーのサインポールが上に上に上りつづけて衛星になる