肩こりの具合
議事録を黙々とちぎり築きたる一座の山に息吹きかける
ヘアピンが当直部屋におちている眠れず月を見あげる人の
満月のかたちの錠剤かばんから出す人と話すスーパームーンを
民謡の「一週間」の早さもてTO・DOリストを消化しており
線路内の石塊のごと男いてスマートフォンで啄木を読む
下井草から鷺ノ宮まで乗り過ごす白鷺に会えるかもしれぬから
肩こりの具合を君は気にかける深夜のメールが続く週末
青きバラ表紙に咲いた小説を君に貸し出す期限さだめず
君は騎手われは遅馬 繋ぐ手で操られいる右へ左へ
薬局にマスクがならぶ笑顔でも悲しき顔でも見せてはならず
さしあたり肘と膝かなさみどりの中に躑躅がぽつぽつと咲む
簡潔に相談記録を残したり男の花瓶の椿の落つを
ぜんざいを目当てに二人で通いたる茶店にホルスト「惑星」流る
アキレスが亀に追いつくことできぬもどかしさかな青竹を踏む
振り向けばアキレスなどはいなかった一匹で歩く亀なり日本