ひょうたん島
わが思想をブックカバーは覆いたり矢絣という甘き柄にて
堅き髪ざくっざくっと刈られおり雑草だましいかつて流行りき
茶畑はわが頭髪に近くして夏にみどりが吹きあげるのだ
週末にアリナミンのめばまだ動く白物家電のような体躯よ
〈みなさんのお墨付き〉なる緑茶から広がる浅き苦みを飲みぬ
虫食いの穴もつ神社はにんげんに遠くカラスとおはなしをする
夜の雨がけやき並木を重くするわが部屋の外が沈みはじめる
ひょうたん島の終着点はない明日も明後日も上り下りの電車
炎天の直売所にてしおれゆく胡瓜を救い囓りてやらん
わが夢と夢のあいだに聞こえくる長距離トラック発車する音