ほのお
みどりごの大きさの鮫のぬいぐるみ買わんと思う牙やわらかき
怪気炎あげる背広の男いてこけしのわれを燃やそうとする
しゃべくりで猛き男を宥めいるわが背なに燃える怪しきほのお
たおやめの兎が狸をもてあそびごうごうぱちぱち狸は死んだ
冬の月とりわけ親し着ぶくれのわがししむらを清く凍らせ
外濠沿い
コンクリの壁にびっしりビラありき法政大学五十五年館
明大より少し高いといわれける法政の塔はもう見つからず
外濠はおじいさんなれど学生のバカが泳いで春が来るなり
高校生のわれは確かに見たはずだバリケードありし学生会館
鉄門は太くか黒く閉ざされておおわが母校は都会めきゆく