エキストリームスポーツ

 オリンピックの影響か地元を歩いていると、路地や駐車場でスケートボードをしている若者を目にすることが多くなった。まだ始めたばかりの人が多いようで、飛び上がる技のオーリーを練習している。基本かつ最初の難関がオーリーなのだ。スケートボードはエキストリームスポーツという括りもできて、町の難所を曲芸的に踏破するパルクールなどもその内だ。近年はけん玉もKENDAMAみたいにアメリカナイズドされてエキストリームスポーツというらしい。あと少し前に流行ったのがエキストリームアイロンだ。高山や空中でアイロンがけをするというスポーツ。チェスとボクシングを交互にする競技であるチェスボクシングをみたときくらい衝撃的だった。
 そんなエキストリームな郊外を散歩するのもまたエキストリームだろう。例えば近所の庭に植えてある燕子花を通りすがりに愛でる。歩行の速度は落とさずあくまで自然にだ。野菜の直売所で目にも止まらぬ速さで絹さやを買う。誰もが見落とすような馬頭観音像に手を合わせる。ただ歩いているだけのように見えて、俊敏性や審美眼、持久力が問われるのである。また、目的地を持ってはいけない。なぜなら移動ではなくエキストリームスポーツなのだから。
 散歩をしているときに短歌もいくつか浮かんでくる。残念ながらエキストリームとは言えない。地元やその自然を愛し、行く末を憂う手堅い歌ができ、スケートボードのオーリーのような躍動には程遠いのだ。

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