箱庭日記2020年7月

某日
 時評をすすめる。トピックが見つかったので終わったようなものだ。
 昼は桃李という地元のラーメン屋で鯛白湯麺を食べる。もはや割烹の和食の域に達している。

某日
 論語読了。「知者迷わず、仁者憂えず、勇者おそれず」とか、有名な「知者水に親しみ、仁者山に親しむ」のような言葉は簡潔明瞭でそれでいて、日頃の自分や社会について考えさせられる。
最近疲労感が抜けないのは暑さかマスクか……。補中益気湯という漢方を飲み始める。

某日
 仕事でヘトヘト。補中益気湯がんばれ。機会に恵まれランチは西武百貨店で飲茶にした。
 今年はコロナ禍の影響で方代忌ロスになりそうだが、そんな憂いを吹き飛ばす本が届く。近々ブログに書評をあげよう。

某日
 仕事で数字の予測をせよというミッションがでる。重回帰分析をしてたけど、独立変数を何するか皆目検討がつかない。悩んだ挙げ句、日々の投資でテクニカル分析してたことを思い出して、移動平均線を提案してみた。株と同じく、未来予測は水物ですよと添える。
 久々にお酒を飲む。やはり弱くなっている。ブログを書けるような状態ではない。

某日
 休日。昨日の酒が残っている。コーヒーを飲むと少し頭痛が和らぐ。夢枕獏の『腐りゆく天使』を読了。『月に吠えらんねえ』然り、朔太郎は面白いひとだ。
 午前中は法哲学について調べる。ドゥオーキンはフーコーのアルシーブと同じようなことをいうのだが、あまり絡みがないようだ。哲学的潮流というやつか。
 昼は地元のうどん屋で肉汁うどん。夜は山田うどんで赤パンチ定食を食べる。
 時評がほぼ書けた。

某日
 仕事で午後に披露のピークがくる。気圧なのか頭重感がすごい。ロキソニン2錠で撃退した。今日は銀河英雄伝説を見て、歌集を読んで寝よう。

某日
 休日。歯石を取る。空気の通りが良くなった。
 最寄り駅にある、農村保健館という保健所の元についての記念碑の題字は与謝野光(晶子の子)らしい。 

某日
 毎年異常気象といわれているけどつまるところ気候変動が根底にあるのですよね。となると小泉進次郎が何かしら記者会見すべきだと思うのだが、テレビをつけると気象庁の職員ばかりが出ている。

某日
 『時と永遠』を読んでいくうちにだんだんわからなくなる。でもとりあえず読む。

某日
 岡井隆さんが亡くなった。未来の全国大会にお邪魔したときにお見かけした。斎藤茂吉、塚本邦雄や岡井隆そして、馬場先生と巨人がもうすでに数え切れないなかで短歌を続けるということをあらためて考える。そして自分の同年代にももうすでに巨人のような人たちがいる。大きな太い道が何本もあるなかで、細い路地だとしても自分の道を造り太くしていくことができるだろうか。

某日
 休日。蜂の巣があらたにできている。蜂の巣は富を呼ぶというが近々臨時収入でもあるのだろうか。今回はベランダにできており、比較的低い位置にあるので、熱湯を沸かしてざっとかけてみた。蜂と対峙するときは武家の棟梁になった気分になる。
 街で通りすがりの女性がラズベリーの香料的なキツめの香水をつけていた。ラズベリーの匂いのする人間ってグロ寄りのエログロだなぁと考えていた。
 『時と永遠』はわかるようなわからなさがある。自分の読解力の低さが恨めしい。とりあえず読了したら鴎外か平出修に移ろうかと思う。

某日
 仕事でへとへと。明日は休みだが人生の大事がある。ここ数日小島なお『展開図』を読んでいる。感想はブログに書くが、歌集や作品以外の感想といえば、同年代なのにすごい歌人だなあということだ。私なんてプリン食って本読んでるだけだからな。
 というわけで星乃珈琲店で「昭和のプリン」というものを食べる。卵が多く含まれているそうだ。小ぶりで上に生クリームが乗っていて、元々カラメルソースがかかっているのに、自分で好みに応じてさらに上からかけることができる。単品でここまで美味しいのだから、これでプリンアラモードを作ったらどうなるのだろうか。果実が蛇足になるかもしれない。そんなことを考えつつ楽しんだ。

某日
 疲れた。
 前衛短歌やニューウェーブのように、実務系というカテゴリーがあってもいい気がする。マイク運んだり受付をする歌人でいつも歴史の裏で暗躍する。

某日
 休日。地元の割烹美好に行く。航空公園がまだ飛行場だったころ、フォール大佐が航空技術を指導していたらしい。そのフォール大佐が好んだカツレツ定食を美好が引き継いでいる。中庭も禅味がありいい空間だ。女将さんも気さくな方で和んだ。また行きたい。
 その後、航空公園の日本庭園で抹茶を飲む。
 そういえば扇風機に濡れタオルをかけると気化熱で多少涼しいというものがある。タオルではなく、最近見かける首にかける冷却マフラーをかけたらより効率的に気化していいかもしれない。百均にもあるので今度買おう。
 『レスコフ作品集I 左利き』を読む。時代の変遷や、社会の構造に合わない「じゃこう牛と」呼ばれる男の一生や、ロシアの政情不安に蔓延る疑心暗鬼をパロディにした「ニヒリストとの旅」、またダーティでもクリーンでもないグレーな地方自治のパロディの「老いたる天才」などロシア文学を満喫できる作品集である。ところどころ引用もあるが、わからなくても楽しめる。

某日
 休日。『レスコフ作品集II 髪結いの芸術家』読了。ロシアならではの不条理っぷりを堪能できる。「髪結いの芸術家」は特にそうでディズニーであれば間違いなくハッピーエンドなのだが、上手くどん底に落ちている。慣れてくるとこれくらいはまだいいほうかなとか、案外救いなのかもなとか思うこともある。
 家のワックスがけをする。読書のあとの家の仕事は意外と楽しい。

某日
 最近おろしたスニーカーに蠟を塗って防水加工したが豪雨の中では無意味だった。

某日
 休日。東京で新型コロナの感染者数が多くなっている。所沢郷土美術館は客が少なくて密にならなくておすすめだ。日本庭園と郷土の芸術家の作品が楽しめる。学芸員不在なのか解説が皆無なのが傷なのだが、そのあたりも含めいい。大河原惇行さんや田井安曇さんの歌集も展示されていた。祖父の詩集もあった。
 昼は西武で寿司を食べる。その後椿屋でモンブランをいただく。
 中谷宇吉郎『雪今昔物語』読了。人工的に雪の結晶をつくるというものだが、昭和天皇の行幸、太平洋戦争、マッカーサーへの講義、国際学会での学術映画の発表と波乱の時代にも比較的恵まれた科学者のようだった。最近の日本は基礎研究に投資されないことが問題になっているが、本書からはまったく感じられず、基礎研究を蔑ろにするのは最近の風潮なのだと思った。寺田寅彦『台風雑俎』を読了。災害に関するフォークロアは大切で、本書自身も寅彦の生きた時代のフォークロアになっている。
 赤坂憲雄編『災害とアートを探る』読了。東日本大震災を起点に、関東大震災や各地の水害に触れながら、災害をアートの手法で発信したり、文化教育的に復興したりと様々な取り組みを綴っている。災害復興も地方の活性化も文化事業なしにはなりたたないことがよくわかった。

某日
 最近やたら刑事ドラマと医療ドラマが流行ってるけど、正解の量産がなされてて生きにくい世の中を象徴している。

某日
 風月堂のゴーフレットは抹茶といちご味の出来が良すぎて、バニラとチョコレートを圧している。本来なら色物のように扱われがちなのだが、レギュラーメンバーの立場も得ていて、より不動なものとなっている。かといってバニラもチョコレートも悪いわけではない。4色のバランスで見ると秀逸極まりないのである。

某日
 老舗のお菓子はおいしい。即興詩人がなかなか進まない。擬古店長いいけど疲れる。

某日
 所沢駅からところざわさくらタウンまで歩く。時評で触れようと思ってたのでとりあえず行ってみた。かなり距離はあるので自転車かキックボードが今後は必要である。まだオープン前で静かだが、中の人の出入りはあった。
 オランダ坂珈琲邸という喫茶店が東所沢駅前にありとてもいい雰囲気だ。チョコバナナホットケーキも美味しくいただく。

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