習作集一・四 川の流れ 七首

  川の流れ

鼻たれのわれへさしだす千本の手をもつ楓は別れを告げて

青紫蘇はばくだん種をまきちらし街全体を香らせてみよ

郵便のスーパーカブの排気ガス煙草のかおりのようで呑みおり

新婚の夫婦はトートバッグからなにゆえいつも葱が出ている

食べかすが主食の鳩を靴で追う日本がだめなところは鳩だ

ひとりでに便座のあがり自動式トイレはホスピタリティみせくる

トイレより賢いだろうか目をつぶる川の流れが聴こえてくるよ