かりん一首鑑賞2020年6月号

  美容室の看板ネコに女子力のツンデレ極意教えられゆく 長谷川明美

 ツンデレが流行り始めたのは『エヴァンゲリオン』の惣流・アスカ・ラングレーや、『涼宮ハルヒの憂鬱』の涼宮ハルヒあたりだろうか、思い返すと十年以上前になる。時が経つのが早いと思う年齢になってきた。さて、引用歌ではツンデレは女子力であるという。女子力とは何かいろいろ出そうだが、ツンデレは行動主義心理学でいうところの部分強化という概念に近く、対象を振り向かせるのにはもってこいの方法である。そんなツンデレを、美容室の看板ネコというジブリに出てきそうなネコに教えられるのは、何か物語が始まりそうである。教えられるといいつつも、むしろネコの術中に長谷川がかかってしまっているのが面白い。そして、教えられゆくという進行形なので、長谷川自身もツンデレ極意会得者になるのだ。