散歩者の日記2020年1月

某日
  雲よりも太陽よりも偉いのだ「ねずみの嫁入り」小さなたつき 題ねずみ

 椿屋で歌詠み初めとブログの更新をする。平出修『二黒の巳』を読む。『畜生道』でもそうだが、お茶屋遊びが題材の小説が多いのか。甲賀三郎『琥珀のパイプ』を読む。ミステリーは面白い。探偵と怪人が同一人物になっているのは斬新。

某日
 月詠と短歌研究詠草を投函。投稿欄って結社に入ってどこか気持ちが遠のいていたのだけど、短歌研究はとってもらえると何首か載るので、投稿形式で発表作品を増やすこともできるなと考えていたのだった。

某日
 徳田秋声『仮装人物』を読み始める。自伝的小説らしい。徳田秋声は風景や心理の描写が好きなのと、陰湿な感じが好きで、自らの歌にも取り入れたいと思っているのだが、ずっと読んでるとジメッとしすぎる感じもして、読了したら別の路線でまた読書しようと思う。
 中学の友人とビリヤードをする。久しぶりでなかなか厚みや捻りがうまく行かない。夕食は土風炉に行く。鳥飼という米焼酎がなかなか美味。その後カラオケにいくがこれまた久しぶり。遊びという遊びは久しぶりだ。いい悪友をもった。

某日
 『仮装人物』を読みすすめる。長いからしばらく終わらない。原稿もだいぶはかどった。NHKのニューイヤーオペラコンサートを聴いた。ファウストはグレートヘンにファウストが宝石をあげて口説いた場面の、「宝石の歌」がよかった。「愛の妙薬」は懐かしい。思い出深い作品。

某日
 コンビニで買った年賀はがきが安い。68円だ。他のところは100円するのに。アッサムティーを職場で飲む。やはりポプリのような香りがする。そのあとセイロンを飲んだが、柑橘感が以前ほど感じない。少し舌がアッサムで麻痺したか。
 渡辺温『アンドロギュノスの裔』読了。女優に恋い焦がれた下級将校が、水商売をしている女に騙されて、最後に帽子工の娘と結婚するのを戯画的に描いている。誰もが収まるところに収まっている。歌も数首作った。やはり小説を読むと歌を作れる気がする。文学的気分が高まるのだろうか。ある作家論のために歌集再読。また以前読んだときと印象が違う。
 BSで藤原定家の番組をしていて、ちょうどつけたときいとうせいこうが「当時の和歌はいまみたいに手慰みでやってるわけじゃなく、」って言ってた。どういうことだろう。

某日
 昨年の日記は読書と葛藤がテーマであまり言及してこなかったが、書斎派のわりに外に出てる日記に関しては連れ合いとでかけているという推測で合っていると思う。その前に『仮装人物』と歌集を読む。昨年は小説ばかり読んでいた気がする。今年は再度近代短歌を読んでいこうと思う。
 さて、食事は東村山のビアーズというインドカレー屋さんに行った。ほかは割とオイリーで香りを効かせているが、ここは結構クリーミィなソースだ。ダルカレーが一番好きだ。

某日
 年始なので忙しい。アッサムティーは響きが悪魔くんがメフィストを召喚するときの呪文に似ている。クイーンズティーはキレというのか鋭い渋みのような香りがある。あまり美味しくないかも。
 ここ最近井上靖を読もうかと思っている。

某日
 仕事と読書

某日
 職場の紅茶はメルローズで結構メジャーなメーカーだということがわかった。ありがたくダージリンをいただく。
 ユビキタスキャプチャーというものが流行ってるがいわゆる本日記のようなものらしい。

某日
 『仮装人物』読了。自然主義文学だなぁという感じ。アニメの日常系のようなテイストでやったら私は見るなぁと思った。
 そのまま流れで『吉井勇全歌集』を読み始める。最近吉井勇と波長が合う気がする。鑑賞記をブログにまとめようかしら。

某日
 仕事で疲れが出てきた。評論を1ミリくらい進めて、吉井勇も少し読み寝てしまった。吉井勇はやはり波長があう気がする。が、当方は貧乏根性が根付いてるので、伯爵の息子というところがなんか気になる。なぜこんなに疲れているか考えたらどうも6連勤中だからだ。

某日
 休みの日。椿屋で吉井勇を読む。ただの読書ではなく、耽美的な気分を味わうエンターテインメントだと思う。オランダイチゴのタルトが美味い。高齢者が生老病死や社会問題を雄弁に語ってるが薄っぺらい。こういう人の一票の集合がいまの日本なのかもしれない。また、論破と面倒臭く敬遠されることは同義かもしれない。

某日
 成人の日の振替日。今日はネットプリント「光あれ 闇来たる」を読む会がある。その前に狭山そばで昼を済ませる。栄養があるかはわからないが山菜そばはいつも美味しい。

某日
 歌壇賞候補に残ったらしい。悪くないが決め手に欠けるという感じか。

某日
 先週今週で飲み会が多く創作が捗らない。重曹水を使って飲み会終わりの衣類の消臭を試みる。自然な素材だしキッチンにも使えるのでとても使い勝手のいい。

某日
 かりんの東京歌会。盛会だった。見学の方もいらしていてますます盛り上がる結社だ。昼は中野のメゾンドムラというフランス料理店でランチを食べる。家庭的な感じと気さくな雰囲気。歌はまずまず。ロマン派(耽美派?)修行しているので、今月以降出していく歌はもう少し色がでてくるようになるはず。ポポロマーマで夕餉。ボンゴレビアンコを食べる。

某日
 夢から醒めたような心持ち。仕事はそこそこだ。午後からいろいろ追い込んで早めに帰りたい。評論を少し書き始める。

某日
 評論を進める。読書はそのかわり捗らない。ネイチャーライティングが気になる。自然を自分なりに歌にしていきたい。ときに町外れの草地や、自宅の庭であっても自分なりに捉えて環境批評性のある歌にできまいか。

某日
 明日は休み。プランクの効果が出てきてる気がする。9日目。

某日
 地元をぶらつく。インドカレーを食べたり散歩したりしているうちに、人生をわりと真面目に考えるようになった自分に気づく。午前中は評論を一気に書き上げる。ネイチャーライティングは日本では少ないが、自然誌で検索をかけると結構ヒットする。

某日
 夕餉は大戸屋の塩鯖を食べる。久々で美味しい。口の中をやけどした。『沈黙の春』をおそばせながら読み始める。プランクを1.5分に増やしたがかなりきつい。

某日
 『感傷ストーブ』批評会前日だが仕事。概ね準備はし尽くした感じがあるが当日はどうか。椿屋カフェで『沈黙の春』の続きを読む。環境についてはやはり考えていかなければならないなと実感。いちごタルトを食べたが、牧野富太郎がいちごはオランダイチゴというべきで、食べている部分は茎であるとか言っていたのをふたたび思い出す。無印良品で買った湯たんぽはブランケットのなかに入れて簡易こたつになるので便利だ。

某日
 感傷ストーブ批評会当日。スタッフをすると進行のほうが気になっていて、実はあまり内容が入ってこない。が、それだけそちらに集中力を注いでいるということでスムーズに進んだ。貝澤さんの進行表もよかった。辻さんの批評会のときに私が作ったのを貝澤さんが厚くしてくれたのだが、あれをもとに話を詰めていくといい。懇親会も奇跡的に人数がぴったりで、時間も上手く配分できた。短歌は一向に上達しないが、幹事力は上がっている気がする。とりあえず無事故で終わってよかった。帰りの電車で、坂井さんが懇親会の乾杯の挨拶で短歌が時代についていけてないことを話していたことを思い返す。表現や物事の把握のことだろうか。たしかに、ガラパゴス化してるんじゃないかなとは思っていて、陥りまいとしたいところだ。川野さんが懇親会で、昔のようなテーゼはなくて、何かにアクションを起こしたら、カウンターも来る時代と言ってたのも印象的だった。ダブルどころかマルチスタンダードだから逆にやりづらいところもあるのかもしれない。あと結社に鍛えられるみたいな話もあったが、無自覚ながらあるんだなあと思った。

某日
 プランク1.5分。2分できる気がしない。

某日
 今日は雪の予報だったがちょっと土を白く染めた程度だった。温暖化の影響か。
 遊戯王の話が批評会ででた。思い返すと戦士族デッキで構成してたことを思い出す。切り込み役が何人かいるのと、お互い助け合いながら守りを崩して、一気に攻め込むところか戦士らしくて、率直で好きだった。

某日
 ヒルトンホテルのデザートビュッフェに行く。いちごとバレエがテーマで、どれも美味しい。ときおりチャイコフスキーのこんぺいとうの踊りが流れる。バイオリンの生演奏もよかった。

某日
 『沈黙の春』読了。たしかに環境批評の草分け的存在で、DDTだけではなく、生態学的アプローチの重要性も説いていてよかった。

某日
 『極北』という小説が面白そうだ。明日買いたい。